米国の核政策の真剣な再検討を――オバマ米大統領の広島訪問について

2016年5月12日  日本共産党幹部会委員長  志位和夫

(1)
オバマ大統領が、アメリカ大統領として初めて被爆地広島を訪問することになったことは、重要な前向きの一歩である。それはまた、「米大統領に、被爆の実相をじかに知ってほしい」という被爆者と被爆地の願いにこたえる行動である。
同時に、この一歩を、「核兵器のない世界」の実現へとつなげるためには、米国政府が、核兵器禁止条約の国際交渉開始に背を向けてきた、これまでの態度をあらためることが必要であることを、率直に指摘しなくてはならない。
(2)
「核兵器のない世界」の実現のためには、核兵器廃絶・禁止を正面からの主題とした国際条約――核兵器禁止条約の国際交渉を開始することが不可欠である。それは、毎年の国連総会で、加盟国の圧倒的多数の賛成で決議されている国際社会の声である。それは、被爆者と被爆地の強い願いである。
ところが、米国は率先して、他の核保有国――英仏中ロとともに、「核抑止力」論にたって、「段階的アプローチこそ核軍縮に向けて前進するための唯一の実際的な選択肢」として、核兵器禁止条約の国際交渉に反対する態度をとってきた。
核軍縮の個々の部分的措置を前進させることは重要だが、そうした部分的措置の積み重ねだけでは、「核兵器のない世界」に到達できない。そのことは、核兵器問題をめぐる外交の全歴史が証明していることである。
日本共産党は、「段階的アプローチ」の名で核兵器廃絶を永久に先送りする核兵器固執論を抜本的に再検討することを、核保有諸国に求める。米国・オバマ大統領に対して、広島を訪問するのであれば、被爆者の声に誠実に耳を傾け、原爆投下による残酷きわまる実相を直視し、これまでの米国の核兵器政策の真剣な再検討に踏み出すことを求める。
(3)
安倍首相は、今回のオバマ大統領の広島訪問について、「核兵器のない世界に向けて大きな力となる」と述べている。しかし、核兵器問題をめぐって、日本政府の姿勢が、きびしく問われていることを、指摘しなくてはならない。
日本政府は、国連総会で圧倒的多数の賛成で採択されている、核兵器禁止の国際交渉開始を求める決議案に対して、1996年に初めて提案されてから、昨年の2015年の総会に至るまで、20年連続で「棄権」している。
核兵器禁止条約を求める国際世論の高まりを背景に、昨年の国連総会では、「核兵器のない世界」を実現するための「法的措置」を討議するための作業部会を求める決議が採択され、現在、スイスのジュネーブで作業部会が開催されている。この会議は、大多数の国が、核兵器禁止条約の必要性を強調する、画期的会議となっている。しかし、核保有国がこの会議をボイコットするもとで、日本政府はこの会議で、「核保有国の参加する場で議論をすべきだ」「段階的アプローチが現実的」などと主張し、世界の大勢に背を向けて、核保有国の代弁者というべき役割を果たしている。
これらは被爆国日本の政府として、恥ずべきものである。こうした姿勢を根本的にあらためることこそ、日本政府に強く求められていることを、強調したい。

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